2人の父が教えてくれた正反対の価値観
ロバート・キヨサキは、実の父(=貧乏父さん)と友人の父(=金持ち父さん)という、2人の父から異なる教えを受けました。
- 貧乏父さん:高学歴で安定した職を得たが、お金に困り続けた。
- 金持ち父さん:学歴はないが、お金の仕組みを理解し、投資とビジネスで富を築いた。
この対比を通じて、著者は「お金に関する思考法の違いが、人生の結果を分ける」と強調します。
資産と負債の違い
本書最大のメッセージが「資産と負債の違い」です。
- 資産=ポケットにお金を入れるもの(不動産収入、株の配当、ビジネス収益など)
- 負債=ポケットからお金を奪うもの(住宅ローン、車のローン、消費的支出など)
多くの人は住宅を「資産」と思い込んでいますが、実際には維持費やローン返済でお金を奪っていくため「負債」とされます。
ただし重要なのは視点です。住宅ローンは借り手にとっては負債ですが、融資した銀行にとっては利息が入るため資産になります。ここに「お金の立場による見え方の違い」があります。金持ち父さんは、この視点の転換を強調します。
日本と海外の投資教育の違い
「日本の学校では投資を教えていない」とよく語られます。これは事実ですが、実は海外でも投資教育が徹底しているわけではなく、大きな差はないのが実情です。
多くの国で学校は「良い学校に入り、良い会社に就職する」という価値観を前提にしており、投資や資産運用は家庭や個人の学びに委ねられています。
だからこそ、自分自身で「お金のリテラシー」を学ぶ必要があるのです。
「安定した給料を得る」という価値観の限界
貧乏父さんの考えは「安定した給料を得て、一生勤め上げる」ことでした。これは確かに日本でも高度経済成長期までは有効なモデルでした。終身雇用、年功序列、退職金と年金制度が整っていた時代は、サラリーマンとして働くこと自体が人生の安定を保証してくれたのです。
しかし現代では状況が変わっています。
- 年金制度の持続性への不安
- 終身雇用制度の崩壊
- 給料の上がらない長期停滞
これらにより、サラリーマンという働き方自体に限界が来ていることは否めません。本書はその現実を先取りする形で「労働収入だけに依存しない生き方」を提案しています。
E・S・B・I クワドラントの働き方の違い
ロバート・キヨサキは「キャッシュフロー・クワドラント」というフレームで人々を4種類に分類しました。
- E(Employee:従業員)
安定を求めるが、会社に依存する。労働時間と収入が比例する。 - S(Self-Employed:自営業・専門職)
自由はあるが、働かないと収入は止まる。自分自身がビジネスそのもの。 - B(Business Owner:ビジネスオーナー)
システムと人に働いてもらい、自分が不在でも収益が発生する。 - I(Investor:投資家)
資本を働かせて収入を得る人。真の経済的自由を実現できる象限。
金持ち父さんは「EやSからBやIへ移行すること」が経済的自由の条件だと説きます。
この本は「キャッシュフロー」ゲームの宣伝本でもある
『金持ち父さん貧乏父さん』は、単に考え方を伝えるだけでなく、著者が開発したボードゲーム**「キャッシュフロー」**を広める目的でも書かれました。
このゲームは、ラットレースから抜け出し投資家として成功する体験を疑似的に学べる教育ツールです。本書はその導入編のような役割を果たしています。
ただし注意点として、キャッシュフローゲームは通常のボードゲーム会ではほとんど扱われていません。多くの場合、専用のゲーム会として独立して開催されるのが特徴です。これもまた、本ゲームが特殊な立ち位置にあることを示しています。
キャッシュフローゲーム会とネットワークビジネスの関係
現在も世界各地で「キャッシュフローゲーム会」が開かれています。純粋に学びや交流を目的としたものもありますが、現実にはネットワークビジネス(MLM)関係者が主催するケースが高い割合を占めます。
僕自身はネットワークビジネスを否定するつもりはありません。実際に成功している人も存在します。ただし、ネットワークビジネスは出来る人と出来ない人で分かれるのも事実であり、それがすべての人に当てはまるわけではありません。
参加者の中には「純粋にゲームをしたかっただけなのに、思わぬ勧誘を受けてガッカリした」という声もあります。したがって、参加する際は主催者の目的や雰囲気を確認することが大切です。
ロバート・キヨサキの後年の著書について
『金持ち父さん貧乏父さん』以降も、ロバート・キヨサキは数多くの本を出版しました。
初期の本では「お金の流れの考え方」や「資産と負債の違い」に焦点を当てていますが、後に出版された本になるほど、ネットワークビジネスを肯定的に取り上げる傾向があります。
これは、彼のビジネス戦略や当時の時代背景を反映したものと思いますが、読者としては「すべてを鵜呑みにせず、自分のスタイルに合った部分を取捨選択する姿勢」が必要になります。
本書の功績と限界
功績
- 資産と負債の違いを広めた
- お金に働かせる発想を提示した
- サラリーマン依存から抜け出す必要性を早い段階で提言した
限界
- 投資ノウハウは具体性に欠ける
- 物語的で事実性に疑問のある部分もある
- ゲームや関連商品の宣伝色が強い
それでも、「お金に関する考え方を根本から変える」きっかけを与えた点で、世界中に大きなインパクトを与えたことは間違いないと思います。
まとめ:考え方をアップデートする一冊
『金持ち父さん貧乏父さん』は、お金のために働くのではなく、お金に働かせるという視点を与えてくれる一冊です。
- 資産と負債を正しく見分ける
- EやSからBやIへ移行することを意識する
- サラリーマン的価値観の限界を理解する
- ネットワークビジネスを含め、世の中には多様な選択肢があると認識する
こうした学びは、今後の働き方や生き方を考える上で非常に重要だと気づかされます。
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